【行政書士監修】日本人に人気の国別 就労ビザ取得の条件は?
海外転職に必要な就労ビザ、実は国によってビザの種類と条件が異なります。今回は海外ビザの申請に詳しい専門家の監修のもと「日本人に人気」のアジア各国とアメリカについて簡単にまとめています。
※2018年11月時点
ベトナム
就労ビザの種類と申請要件:
■専門家ビザ/四年制大学卒業、同職種経験3年以上
■技術者ビザ/その分野で1年以上専門トレーニングおよび同職種経験3年以上
◇年齢制限/18歳以上
◇最低給与/原則なし
必要書類(一般的な卒業証明書、職務経歴書を除く)
〇前職での社印入りの在職証明書が必要(在籍期間と職務内容が記されたもの)
〇無犯罪証明書(日本・ベトナム)
〇健康診断書(所定の病院で受診)
注意点について
就労ビザ+労働許可の両方をとる必要があります。
※就労ビザ=ベトナムへの入国と滞在を許可するもの。労働許可=ワークパーミットのことで、ベトナムで働くことを許可するもの
インドネシア
就労ビザの種類と申請要件:
■就労ビザ(312)/大学卒業で能力認証によって証明される能力或いは5年以上の職歴。高校卒業も不可能ではないが高卒・高専卒の学歴所有者に対する許可証発行は厳しくなっている。エンジニアの場合、本国で取得した資格証/登録証が必要
◇年齢制限/60歳未満 ※石油・ガス分野では30歳以上50歳未満
◇最低給与/原則なし
必要書類(一般的な卒業証明書、職務経歴書を除く)
〇パスポートの残存期間18カ月以上、空白ページ6ページ以上が必要
注意点について
ビザ発給許可(VTT)+就労許可(IMTA)+滞在許可(KITAS、入国後に取得)が必要となります。2018年に制度が変更されたもののまだ移行中で、旧制度で手続きが行われています。
ビザの発給後、90日以内にインドネシアに入国しなければなりません。手続きが複雑なため、現地エージェントに依頼する方が無難です。
タイ
就労ビザの種類と申請要件:
■Non immigrant Bビザ/学歴不問、新卒可能、社会人経験なしでも可/外国人が就業できない職種(医療、美容など)がある
◇年齢制限/-
◇最低給与/月収:50,000バーツ(約16.5万円)~ ※受入先企業や職種により異なる
必要書類(一般的な卒業証明書、職務経歴書を除く)
〇タイの医師による健康診断書(労働許可申請時)
注意点について
就労ビザ+労働許可の両方をとる必要があります。在日タイ大使館で就労ビザ(non immigrant Bビザ)取得→タイに入国後、労働許可(work permitt)取得→Bビザの滞在延長を申請する流れとなります。
企業側は、外国人採用につき資本金200万バーツ保持しなければなりません。タイ人4名に対して外国人雇用枠1名となっています。
インド
就労ビザの種類と申請要件:
■就労ビザ(Employment visa)/大学新卒でも可能だが、社会人経験3年以上が望ましい
◇年齢制限/原則なし
◇最低給与/年収:1,625,000ルピー(約250万円)
必要書類(一般的な卒業証明書、職務経歴書を除く)
〇パスポートの残存期間6カ月以上、空白ページ2ページ以上
〇管轄の領事館により学歴や職歴/資格証明書の提出を言われることがある
注意点について
ビザ発給の流れは「オンライン申請→在日インド領事館に書類提出→発給」となります。入国後2週間以内に外国人登録を行う義務があります。
中国
就労ビザの種類と申請要件:
■就労ビザ(Z)は、A、B、C 3つのランクに分かれたポイント制で審査される。
Aランク…学歴や職歴、年齢によるポイント合算85点以上
Bランク…大卒以上、日本での経験2年以上(申請する職種と同等職種)
Cランクだと許可されない可能性もあり
◇年齢制限/原則なし
◇最低給与/原則なし
必要書類(一般的な卒業証明書、職務経歴書を除く)
〇前職での社印入りの在職証明書(在籍期間と職務内容が記されたもの)
〇犯罪経歴証明書
〇健康診断書(指定病院)
注意点について
就労ビザ(Z)+就労許可(外国人工作許可)が必要となります。ビザの発給後、3カ月以内に中国に入国しなければなりません。
シンガポール
就労ビザの種類と申請要件:
■EP(Employment パス):大学卒業(政府が指定している高レベルな大学に限る)
■Sパス(エスパス)/高校卒業以上
◇年齢制限/原則なし
◇最低給与/EP:だと3,600シンガポールドル以上。Sパスは2,200シンガポールドル以上
必要書類(一般的な卒業証明書、職務経歴書を除く)
-
注意点について
ビザ発給の流れは「オンライン申請→入国後、人材開発庁(MOM)との面接→発給」となります。雇用される企業の業績もビザの発給に影響します。
企業側でのSパスの雇用枠は、EP除く全従業員の15%までの人数となります。(サービス業の場合/その他の業種では20%まで)
マレーシア
就労ビザの種類と申請要件:
■就労ビザ(Employmentパス)/駐在員や知的労働者は学歴により3つのカテゴリーに分かれる
a.大卒以上で、かつ3年以上の職務経験があること。
b. Diploma(短大卒業資格)保持者なら、5年以上の職務経験があること。
c.職業訓練校などの技術系証書などの取得者なら、7年以上の職務経験があること。
※職務経験はこれから就く職種と同じ分野であること
◇年齢制限/27歳以上 ※IT関連職などは例外で23歳以上
◇最低給与/最低月額5,000リンギ以上の報酬
必要書類(一般的な卒業証明書、職務経歴書を除く)
〇パスポートの残存期間18カ月以上
注意点について
企業側は、外国人採用につき資本金要件があります。
台湾
就労ビザの種類と申請要件:
■就労許可/高校・専門・短大卒:社会人経験5年以上、または台湾国外の大卒で社会人経験2年以上。台湾国内の大卒・大学院卒:必要なし ※職務経験はこれから就く職種と同じ分野であること。外国人が就業できる職種には制限がある
◇年齢制限/原則なし
◇最低給与/月収:NT$47,971(約168,000円)、月収:NT$37,619(約12万円) ※2012年以降に卒業された台湾の新卒(日本人留学生)
必要書類(一般的な卒業証明書、職務経歴書を除く)
〇パスポートの残存期間6カ月以上
〇前職での社印入りの在職証明書が必要(在籍期間と職務内容が記されたもの)
〇管轄の台北駐日經濟文化代表處(大使館と同様の機関)により、ビザ申請の必要書類が異なる可能性がある
注意点について
労働許可+居留ビザの両方をとる必要があります。居留ビザ申請時に、海外医療保険に加入することが求められます。
香港
就労ビザの種類と申請要件:
就労できるビザは4種類
■一般向け(General Employment Policy)の場合、大卒以上で同職種経験のあること。高卒・専門卒の場合は同職種での業務経験10年以上など専門知識や技能があること。
※専門分野(プロフェッショナル職)等の場合は例外もある。
◇年齢制限/原則なし
◇最低給与/原則なし
必要書類(一般的な卒業証明書、職務経歴書を除く)
-
注意点について
就労ビザ許可(Visa Permit)→香港入国時にビザ発行となります。
過去に犯罪歴のないこと、その者の就く職の空きがある(=ローカルの職を奪っていない)こと、同レベルの香港人と同等の社会保険等の付帯給付を受けることが必要になります。
フィリピン
就労ビザの種類と申請要件:
■一般的な雇用ビザ(9G)Prearranged Employee Visa/1年間有効で3年まで延長可能。
■特別就労許可…SWP/Special Work Permit/6カ月未満の就労の場合
■外国人雇用許可証…AEP /Alien Employment Permission/6カ月以上の就労の場合
◇年齢制限/原則なし
◇最低給与/PHP40,000(Gross)/月程度以上
必要書類(一般的な卒業証明書、職務経歴書を除く)
〇犯罪経歴証明書(領事認証が必要)
〇健康診断書(領事認証が必要)
注意点について
就労ビザ(9G)+就労許可(SWPまたはAEP)の両方をとる必要があります。フィリピン人にはつとまらないポジションであることが要件となります。
韓国
就労ビザの種類と申請要件:
■企業内転勤ビザ(D-7)/日本本社・支社から転勤扱いの場合、本社にて同じポジションで1年以上雇用されていることが要件
■特定活動ビザ/就こうとする職種と関連性が有る分野の修士以上の学位。就こうとする職種と関連性がある学士学位+1年以上の該当分野での経歴 (経歴については学位取得以後の経歴のみ認定)。就こうとする職種と関連性がある分野での5年以上の勤務経歴
◇年齢制限/原則なし
◇最低給与/原則なし
必要書類(一般的な卒業証明書、職務経歴書を除く)
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注意点について
ビザ発給の流れは「就労ビザ発行許可(CCVI )の取得→就労ビザ申請→発給」となります。韓国に5年以上滞在する外国人は、住民登録する必要があります。
アメリカ
就労ビザの種類と申請要件:
■H-1Bビザ(高度専門職)/専門知識を必要とし、一般的には学士号またはそれ以上の学位が必要。短大卒業でも最低6年間の実務経験があれば取得可能な場合がある。職務内容がプロフェッショナル(Specialty Occupation)なものであること。学位と職務内容が一致すること
■L-1ビザ(企業内転勤)/支店長クラス・マネージャークラスの2種がある。職務経験、学歴、実績が必要
◇年齢制限/原則なし
◇最低給与/原則なし
必要書類(一般的な卒業証明書、職務経歴書を除く)
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注意点について
就労許可(i-129)+就労ビザの両方をとる必要があります。
あなたが海外転職を希望する国への就労ビザの申請条件はいかがでしたか? 行きたいと考えている国と行ける国は異なっていたかもしれません。
海外転職の場合、ビザの申請や取得は転職先企業が手続きを代行してくれる場合と、自分で手続きを行わなければならない場合もあります。いずれの際も実務に詳しい専門家や代行会社(エージェント)にお願いしてもらうこと可能です。
転職の実現には必ず必要な手続きになります。最低限それぞれ行きたい国のビザ申請条件に関する情報を必ずチェックしておきましょう。
- 監修/横浜中央合同横山美佐子事務所/横山美佐子
- 海外進出・外国人材・薬事申請を主軸に活動、駐在員や外国人社員の就労ビザ申請を得意とする。自らもマレーシアで駐在経験があり、「個人が活躍する時代」に役立つ情報やサポートを提供している。