ベトナム転職に役立つ! もし、ベトナムでケガや体調が悪くなったら?

ベトナムは、急速な経済成長を続ける東南アジアの中でも最も活気のある国の一つ。多くの日系企業が進出しており、在住日本人数も年々うなぎのぼりとなっています。とはいえ、やはり途上国、病気やケガなど、万が一の際の心配はつきものです。そこで、ベトナムの現地医療事情を少しのぞいてみましょう。

ベトナムの病院の写真
▲ホーチミン市の日系クリニック。複数の日本人医師が常駐するところもある

1.困った時は、まず外資系クリニックへ

ベトナムには近代的な医療設備を揃えたローカル病院もありますが、ベトナム語が必要だったり、海外の医療保険が利用できなかったりするため、在住日本人の多くは外国人向けの外資系病院やクリニックを利用しています。

特に、中心街にあるクリニックは最も気軽に利用できる医療機関。大きな手術や長期入院はできませんが、風邪や腹痛など身近な病気やケガに対応してくれます。その多くは内科が主ですが、外科や眼科、耳鼻科、皮膚科など、専門的な診断が必要な場合は、提携する他の医療機関を紹介してくれ、在住者のプライマリ・ケアを担う存在にもなっています。

以前は受診に少なくとも英語が必須でしたが、現在は日系クリニックがハノイに約3院、ホーチミン市に約2院あるほか、日本人医師や日本語通訳スタッフが常駐するところもあり、言葉の心配はほぼありません。

2.任意医療保険への加入は必須

ベトナムにも国が定める医療保険制度があります。現地で就労する外国人も強制加入の対象で、受診時の医療費自己負担額は20%。しかし、適応されるのは居住地近郊のローカル病院のみで、さらに利用する病院を保険加入時にあらかじめ指定しなければなりません。また、それらの病院には外国語通訳がいないことが多いため、現実的な利用は難しいものとなっています。

そこで在住者は受診の際、日本で加入できる海外旅行保険やクレジットカードの付帯保険で費用を補うのが一般的です。年間500USドル程度から加入できる現地の任意医療保険もあり、プランによってはキャッシュレスでの受診も可能。診察予約や同行通訳サービスを行う企業もあります。一部のクリニックや病院は日本の国民健康保険にも対応でき、帰国時に申請すれば現地で支払った金額の一部が還付されます。

外資系病院の治療費はローカル病院よりも高額で、風邪の診療だけでも100USドル程度から。ベトナム国内で対応できない症状の場合は日本やタイ、シンガポールなどへ緊急搬送され、1万USドル以上の費用がかかることもあるため、任意保険への加入は必須といえます。

ベトナムの薬局の写真
▲町中の薬局。大手チェーン店は、化粧品やヘアケア用品なども取り扱う

3.薬は1錠から購入できる

ベトナムの人々の多くは軽い病気なら病院へは行かず、薬を購入し自力で治します。そのため町中には「Pharmacy」、またはベトナム語で薬局を意味する「Nha Thuoc」の看板を掲げた薬局がいたるところにあります。

購入は店頭で「頭が痛い、熱がある、お腹が痛い」など、症状を伝えるだけでOK。都市部の薬局には英語を話せる店員も多く、あらかじめ必要な英単語を調べておけば簡単に買うことができます。

薬は1錠単位で購入でき、何日分などの希望を伝えると、薬剤師が必要な分量を取り分けてくれます。ただし、複数の薬をまとめて袋に詰められるため、後で薬の種類が分かるよう、メモ書きをおすすめします。

市販薬は安価で、日本では処方箋が必要な薬も購入できます。たとえば一般的な鎮痛解熱剤で1錠1500VNドン程度。大手欧米製薬会社の製品が多く、日本人にとっては効果が強い場合があるため、用法や用量には注意してください。

4.歯科医院も充実、家族連れでの赴任も安心

 勝手の分からない海外生活では、突然痛みが襲ってくる虫歯も大きな問題となります。しかし近年、日本をはじめ欧米や韓国などの外資系デンタルクリニックが続々と登場。歯の治療も安心して受けられるようになりました。

日本人や日本語が話せるベトナム人歯科医が常駐するクリニックもあり、虫歯治療のほか、クリーニングやホワイトニング、歯科矯正など、日本同様の先進技術を使った治療が受けられます。

費用はローカル歯科医院で虫歯治療が約50万VNドン程度から。対して外資系は250USドル程度からと大きく差がありますが、食生活を支える場所でもあるため「できるだけ良い治療を行いたい」と、在住外国人は外資系クリニックに通うことが一般的です。クリニックの中にはキッズルームを備えるところもあり、家族・子供連れでの赴任でも安心です。

※2018年9月現在

この記事を書いた人
日本の出版社で編集者として勤務の後、2003年に渡越。ベトナムの日本語フリーペーパーやベトナム航空機内誌などの編集長を歴任し、現在は制作ブロダクション「GRAFICA CO., LTD.」代表を務める。日本の旅行誌やガイドブック制作のほか、撮影やデザイン、印刷、取材コーディネートなどを通じ、ベトナムの最新情報を発信している。

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