タイでの生活、何が高くて、何が安い?

タイは経済市況がインフレ傾向であるものの、比較的物価も安く暮らしやすい国です。なかでも東南アジアを代表する大都市である首都バンコクは、住まい、グルメ、遊び、すべてにおいて超高級から格安なものまでがひと通り揃い、それぞれ個人の予算に合わせたライフスタイルを選択することが可能です。今回は、単身の外国人がバンコク生活でかかる費用と物価について紹介します。

バンコクの写真

1.エリアによって大きく異なる家賃

勤務地やライフスタイルによって住むエリアも大きく変わってきます。単身者の場合は、日本人駐在家族が多く住むプロンポンからエカマイ以外にも、日系企業も多いオフィス街のシーロムやアソーク周辺、郊外ながら商業施設が揃うオンヌット、ラチャダーといったBTSやMRT沿線のエリアが選択肢に挙がります。

さまざまな種類の物件があるなか、女性にも利用しやすく人気なのが駅前のコンドミニアムです。ホテルのようなフロントに、プールやジムといった共用施設が充実しているタイプの築浅の物件で、多くはエアコン、冷蔵庫、家具などが備え付けられています。

35~50平方メートルほどのStudio(1Room)や1BR(1Bed Room)の場合、ビジネス街やプロンポンからエカマイ周辺で月2~4万バーツ(約6万8,000~13万6,000円)、郊外の駅周辺なら月1~2万バーツ(約3万4,000~6万8,000円)の家賃が目安となります。

バンコク全体で見ても家賃が高いエリアは中心部に集中しています。2~3駅郊外になるだけでもかなり安くなります。ただし、バンコクの単身者用物件には浴槽やしっかりとしたキッチンが付いていないことが多く、これらが必要な場合は物件数が限られます。

タイの高層コンドミニアムの写真
▲街中で高層コンドミニアムの建設ラッシュが始まっています

2.バンコクの交通費は格安で手段も豊富

タイの中でもバンコクは地方よりも交通手段が豊富で、とても安い運賃で移動することができます。なかでも、時刻表はないものの数分おきに列車がやってくるBTSやMRTは主要となる交通手段です。BTSの運賃は16~59バーツ(約54~201円)程度、MRTは16~42バーツ(約54~143円)程度です。

駅から離れた場所への移動に便利なバイクタクシーは、0.5~2キロメートル乗るなら15~30バーツ(約51~102円)程度です。タクシーは初乗り料金が35バーツ(約119円)で、まれに乗車拒否はあるものの、メーター制で利用しやすく、日中でも渋滞に遭遇しなければ数キロメートルほどの移動なら100バーツ弱(約340円弱)で利用できます。

BTSやMRT沿線が生活圏という人なら、交通費は月2,000バーツ(約6,800円)あれば充分です。タクシーを頻繁に利用する人やアクティブな人の場合は、数千バーツかかりますが、それでも日本と比較するととても安く感じます。

バンコクの電車の写真
▲電車移動は通勤ラッシュ時で込み合いますが、移動時間が予測しにくい車の移動よりも便利!

3.日本よりも安い光熱費と通信費

生活するなかでもっとも割安に感じるのが毎月の光熱費です。単身者の場合、水道代はたっぷり使用しても120~200バーツ(約408~680円)程度でしょう。コンドミニアムや集合住宅の場合、ガスは日本のように通っておらず、風呂(温水)や調理には電気を利用する家がほとんどです。電気代はエアコン使用量で大幅に変わり、エアコン1台を毎日使用するなら2,000~3,500バーツ(約6,800~1万1,900円)程度かかります。ほとんど使わなければ 1,000バーツ(約3,400円)かからないという人もいます。

タイでは、電気使用量が増えるほど単価が上がるシステムのため、大量に電気を使う家庭では割安感は減ってきます。また、インターネットは一般的なスピードで650バーツ(約2,210円)、高速インターネットを楽しみたい場合は1,000バーツくらいかかることも。これらはすべて直接契約の場合なので、物件によっては独自の料金設定や定額制をとっており、やや割高になる場合もあります。

携帯電話の通信料は、日本の格安SIMを使用した料金と近い価格帯です。300~1,000バーツ(約1,020~3,400円)程度の定額制プランを利用するのが主流です。

タイの無料Wi-fiが使えるところの写真
▲商業施設やカフェなど至る所で無料Wi-fiを利用することが可能です

4.個人差が大きい食費と嗜好品

1.虫除けスプレーなどの虫対策グッズ

人によって大幅に違ってくるのが食費と嗜好品です。タイ料理を屋台やフードコートで食べると1食35~100バーツ(約119~340円)、カジュアルなレストランなら100~300バーツ(約340~1,020円)で、ファストフードは100~200バーツ(約340~680円)程度です。タイ料理以外の日本食やイタリア料理などは、日本での価格とあまり変わりません。外食をメインにする場合の食費は、ローカルご飯とそれ以外のバランスによって大きく変わってきます。

自炊する場合、栄養バランスを考えたり、きちんと安全な食品を選んだりするため、和食はもちろん、タイ料理を作った場合でも屋台で済ますよりもずっと割高になります。日本と比べ、タイ産の日本食材や乳製品は少し割高で、輸入食材は1.5~2倍ほど。タイ産の生鮮類やハーブは割安となっています。

たばこの値段は年々上昇しており、現在のマールボロ(Marlboro)の価格は145バーツ(約493円)。国産の酒は日本より安めでSinghaビール小瓶(330ml)の価格は42バーツ(約143円)、レストランでは 60~120バーツ(約204~408円)程度です。バーで飲む場合は、カクテル一杯300~600バーツ(約1,020~2,040円)が目安です。

タイの屋台料理の写真
▲おいしい屋台は多いですが連日となると野菜不足になりがちです

5.安いのは衣類と旅行代。交際費は人それぞれ

タイでは一年を通してほぼ夏服を着ることになるので、コートのような大きな出費がかからないのが洋服代です。また、タイでは水質の違いなどですぐに生地が傷んでしまうため、私の場合は、高品質な値段の高い服よりもファストファッションを買うことが増えました。

レジャーも安いものが多く、映画は1人150~280バーツ(約510~952円)程度で鑑賞できます。タイ古式マッサージは1時間200バーツ(約680円)くらいから。ローカルグルメ巡りや寺院などの観光も格安で、LCCを使えば地方や近隣諸国まで往復3,000~5,000バーツ(1万200~1万7,000円)程度で移動できるため、旅行も気軽に楽しめます。

日本と大きく変わらないのが、習い事代や日系美容室でのヘアカット代です。日本より高くなるのが、趣味の道具、化粧品などの輸入品。ほかにも女性の場合、意外にかかりがちなのがおしゃれランチやお茶代。

次々にバンコクにできる話題のおしゃれスポットを巡るのが好きな方は、食費と別に数千バーツぐらい予算を多めにみておきましょう。また、日本人同士の飲み会代は1回1,000~2,500バーツ(約3,400~8,500円)程度と日本と同じくらいになることが多く、交際費は人それぞれとなっています。

タイのファッションの写真
▲一年でもっとも涼しくなる乾季でも日本の夏のようなファッションでOK

まとめ

今回紹介したものは、バンコクに住む外国人の平均的なライフスタイルの場合です。実際は部屋ひとつにしても2,000バーツ(約6,800円)のローカルアパートから、数万バーツのサービスアパートまで、幅広い選択肢があります。タイでは、いくらでも豪勢に、また、いくらでも節約して過ごすことができます。ぜひメリハリをつけて、それぞれに合った快適なタイ生活を楽しんでください。

※日本円換算レートは2018年1月時点

このデータを調査した人
サカモトヨウコさん・タイ特派員サムネイル
写真を学んだ後、関西の制作会社でカメラマンとして勤務。現在はバンコクに拠点を移し、主に日本のビジネス誌や現地メディア向けに、東南アジア各地で取材・撮影を行う。音楽とお茶と山を好み、旅先ではアートギャラリー巡りと猫の撮影を欠かさない。地球の歩き方 バンコクWeb特派員として、バンコクのエネルギッシュな若者文化を伝えるべく寄稿中。

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