雨シーズン開幕のシアトルよりこんにちは
人生何が起こるかわからない
はじめまして。今回からエッセイをお届けすることになった、スターバックス花子です。普通、三十路を過ぎたら、夢と現実を見極めたり、守りの生活に入ったりして落ち着くものの「英語も勉強したいし、そうだアメリカに留学しよう!」と2年前に渡米。当初は、最低でも2年間モーレツに勉強して、大学でも卒業してやる! と思っていたものの、ひょんなことから就職の話が飛び込み、「アメリカで社会人経験、いいかも」と学生生活は1年間で終了。今年から社会人生活がスタートしました。アメリカ留学を決意した時は、こっちで働くなんて考えてもいなかったのに、ホント人生何が起こるかわからないもんですねー(私の場合)。
シアトルに住み始めてもうすぐ丸2年。日本人にとってシアトルといえば、スターバックスの発祥地、マイクロソフトの本拠地、イチローや大魔人・佐々木が活躍するシアトル・マリナーズがあるところ、といったところでしょうか。実は、シアトルは雨が多いことでも有名。数週間前から恒例のレイニー・シーズンに突入し、昨日も雨、今日も雨、明日もやっぱり雨、という雨のオン・パレード。
そういえば、シアトルを舞台にしたメグ・ライアン&トム・ハンクス主演の映画『めぐり逢えたら(英題:Sleepless in Seattle)』でも、「シアトルは1年に300日以上雨が降るところ」なんてセリフがあったっけ。
ま、300日というのは大げさで、雨といっても1日中降っているわけではないので、実際に住んでいるとそんなに雨ばかりという実感がない。例えば今日の天気にしても、朝:シトシト雨、昼:曇りのち所により一時晴れ、夕方:晴天の兆しを見せといて、夜:本降り……って、なんだやっぱり雨ばっかりじゃん! でも、こんな雨続きでもシアトルが嫌いにならないのは、晴天が続く夏がことさら素晴らしいから。憂鬱な雨シーズンだけど、またあの美しい夏が来ると思えば乗り切れるってもんなのです。
大人も本気で遊ぶアメリカ
ちょっと前の話になりますが、10月31日のハロウィーン。今年は金曜日ということもあって、大いに盛り上がりました。このハロウィーンは、もともとアイルランドのケルト民族の文化・風習からきたもの。しかし、アメリカで独自の変貌を遂げて「ま、意味はあるんだろうけど、どーせなら楽しくいきましょうよ」ということで、子供達は仮装をして「Trick or Treat!(お菓子でもてなさないといたずらしちゃうぞ!)」と近所を練り歩き、大人も仮装してパーティをしたり、家をおどろおどろしく飾り付けたり……という日になっている。
いやはや、アメリカ人のこういう"楽しくやろうぜパワー"には見習うべきものがあって、子供のみならず大人も超本気だから驚いてしまう。昨年、生まれて初めてハロウィーンを体験したのだが、はっきり言ってハマってしまいました。
昨年、女バンパイアになったつもりが、胸がぐわんと開いたテカテカ素材の黒ドレス&赤マント姿だったため、図らずも"SMクィーン"と呼ばれてしまった私。今年は何に変身するか、同居人(アメリカ人・37歳・エンジニア)と悩みすぎて前日になっても決められず、結局昨年の衣装を再び着ることに。せめてメイクアップくらいは変えねばと、バンパイア用のメイクセットを買ったのはいいが、塗りたくり過ぎて、完成したら『牙が生えたデーモン小暮』になっていた(ガックリ)。ちなみに彼は、映画『ロード・オブ・ザ・リング』のアラゴン。女デーモン小暮&妙なズラを被ったアラゴンという出で立ちで、マントを翻し、友達と一緒にコスチューム・コンテスト・パーティに参加した(もちろん出たわけでなく、観客側)。
そこには、サダム・フセイン、ポン引き、セクシー看護婦……なんてのはフツーの方で、キリン、水槽に入った魚、タンス人間、大木……と、もはやここまで来たら説明不可能。まるで欽ちゃんの仮装大賞状態だ。ま、これは優勝者にハワイ往復チケットが当たるコンテストだったので、凝るのにも納得がいくが、その前の週に彼の弟宅で行われたハロウィーン・パーティもこれに負けるとも劣らず、スゴかった。まったくのプライベートなパーティなのに。
まず、玄関には5メートル四方の巨大なクモが飾られ、ドアを開けるとシュルシュルとスモークが立ち昇る仕掛け(1年に1度しか出番がないのに、こーゆーのを買っちゃうところがスゴイ)。主催者である彼の弟は、人気コミック『シンプソンズ』の出演者のひとり(その通りにヒゲまで剃ってる!)、奥さんは人間クリスマス・ツリー(緑のタイツは当然、体中に電飾付き!)、そして今年誕生して6カ月の姪っ子は、日の丸の鉢巻をしたベイビー忍者(超かわいい)。
そのほか、『マトリックス』のカップル、アラビアン・ナイトなど、いろいろな仮装の人がいたが、マイ・ベストは『妊娠中の豹』。豹柄のレオタードのお腹にクッションを入れ、さらにゴムの乳首を6つ付けた女の人。もともとセクシー路線の豹柄コスチュームを、妊娠というテーマでお笑いにもっていくところがアッパレだ。
ちなみに、パーティ会場となった彼の弟の家は、あちこちにクモの巣がかかり、そこかしこにクモが這い(もちろんニセモノ)、パーティ・フードには、脳みその色・形をしたブレイン・ゼリー&心臓の色・形をしたハート・ゼリーまで登場。ここまで凝られると、もう参りました! って感じ。
しかし、楽しかったな~、ハロウィーン。思うに、これこそアメリカから日本に輸出したい習慣のベスト1だなのだが、どうでしょ、みなさん。ダメかな、やっぱり。では、また来週!
筆者プロフィール / スターバックス花子
1968年、東京生まれ。イベント会社でプランナー、出版社で編集者、派遣社員……といろいろした後、フリーランス・ライターに。特にトラベル・ライターとして活躍し(自称)世界各国を飛び回るが、何を思い立ったか33歳の時にいきなりアメリカへ留学。勢いあまって1年後に就職(まったくの予定外)。現在、ワシントン州シアトル在住。生粋の江戸っ子(3代目。それだけ自慢)。