仕事の大変さと面白さを、誠実に伝えていきたい——葛藤しながらも業界の未来を考え“人”と向き合う、DIC採用担当者の想い
※以下は第一カッターのHPに掲載しているオウンドメディア「DICストーリーズ」より転載しているものとなります。
入社はゴールではなく、会社との関係性が深まっていくスタートです——。そう話すのは、第一カッター興業株式会社(以下、DIC)人事部の岡本さん。DICの採用全般を担っています。
人を大切にするDICでは、どのような採用活動を行っているのでしょうか。また、どんな人がDICに入社し、カルチャーを作り上げているのか。業界に染み付いたイメージに葛藤しながらも、真摯に採用に向き合う岡本さんに話を伺いました。
「世の中から絶対になくならない仕事」に惹かれ入社
——はじめに、現在の業務内容を教えてください。
新卒・中途に関わらず、採用活動全般が主な業務です。新卒の場合はナビサイトへの掲載内容の検討、説明会やサマーインターンなどの企画から運営、また採用面接も行っています。
建設業界は必ずしも人気が高い業界ではありませんし、一般的に当社の知名度も高くはありません。その前提は常に忘れず、どうしたら学生や求職者の目にとまるか、少しでも興味をもってもらえるかを考えながら仕事に取り組んでいます。
——岡本さん自身は中途入社と伺っていますが、入社の経緯と決め手を教えていただけますでしょうか。
もともと出版業界で働いていたのですが、仕事が激務で、もう少し安定的に働ける場所がないかと転職活動をしていた際に、DICに出会いました。当時、建設業界にはまったく馴染みがなかった私は、道路や橋などのコンクリートを切る仕事があることを初めて知って「世の中にはこんな仕事があるんだ!」と、とても新鮮な気持ちになりました。
入社の決め手は「この仕事は絶対に世の中からなくならない」と感じたことです。道路や橋は時が経つにつれて、必ず修繕や取り壊しが必要になります。社会から確実に必要とされていることを、様々な技術をもって取り組む仕事に魅力を感じたとともに、仕事がなくならないことへの安心感もありました。
採用担当のミッションは「現場のリアル」を伝えること
——採用活動ではどのような施策を行っていますか?
新卒採用では、Web説明会のあとのステップとして、DICの仕事を体感できる「施工体験」を行っています。実際に機械に触れながら、コンクリートの切り方や、幅広い道具の種類や用途を知ってもらうんです。この施工体験は、前担当者の時代も合わせて、10年以上は続けています。
当社の仕事はイメージがつきづらいですし、なかなか日常生活で触れる機会もないので、施工体験を早い段階で実施することで、 DICのリアルな仕事を理解していただきたいと考えているんです。その上で、当社を選択肢に入れていただける学生さんに、その後の選考も進んでいただきたいと思っています。
——採用プロセスの早い段階で業務理解ができるのは、学生にとってもいいですね。DICの採用活動を行う上で心がけていることってありますか?
根底にあるのは求職者の方と誠実に向き合うことです。この業界やDICの仕事の、良い部分も悪い部分も、偽りなくお伝えすることを心がけています。
正直、なるべく多くの人を採用できたら嬉しいですし、良い部分だけをお伝えすれば、それも可能かもしれません。ただ、入社はゴールではなくて、会社との関係性が深まっていくスタートです。悪い部分を隠しておいて、入社後に大きなショックを感じさせてしまっては、良い関係を作ることは難しいでしょう。
朝が早いとか夜勤もあるとか、体を使う仕事の大変さもしっかりお伝えして、それでも「この仕事は楽しそう!」と思ってくれる方と一緒に働きたいと考えています。
——素敵な考え方ですね。仕事をしていてやりがいを感じる瞬間はどんな時でしょうか?
求職者のかたにDICの仕事の意義や魅力を知ってもらえた瞬間が、一番やりがいを感じますね。皆さんの表情に驚きがあったり、感嘆してくれていたりすると「よしやった!」という気持ちになるんです。
もちろん全員が当社とマッチすることはないですし、ちょっと興味とは違うかもと思われることもあると思います。ただ、入社するしないに関わらず、当社の仕事を知ってもらえること、その方自身の知らなかった世界のことをお伝えできることには、とてもやりがいを感じています。
プレッシャーをやりがいに変え、仕事を楽しめる人が活躍する現場
——目の前の採用だけにとらわれず、業界や仕事そのものを伝えることも大切にされているんですね。DICに入社したあと、活躍しているメンバーに共通点はありますか?
多様なメンバーが在籍しているので一概には言えませんが、目の前の一つひとつの現場を楽しめる人が活躍しやすいと思います。そんなメンバーに仕事のやりがいを聞くと、「自分の思うように機械を動かして綺麗に切断ができたとき」「仕事を仲間と褒めあったり、お客様にも喜んで頂けたりするとき」と返ってくるんです。
また、本当にプレッシャーが高いというか、誤魔化しの効かない仕事をしているので、そんな緊張感を楽しめる人も活躍しているイメージですね。
——誤魔化しが効かないとはどういう意味ですか?
一部分を取り除く、壊す仕事なので、作業を進めた通りにモノの形が変わっていきます。また、現場には常にお客さん(監督さん)の視線があります。つまり、自分はもちろん、リアルタイムでお客さんにも、物理的な成果を確認されるという意味で、非常にプレッシャーの高い仕事だと思います。人事としても、そうしたプレッシャーのなかで働く人たちを採用しているということは、いつも心に銘じています。
——現場と同じ目線で仕事の楽しさと厳しさを理解している人事がいることは、心強いですね。入社後について、キャリアアップのための制度や仕組みはあるのでしょうか。
特に制度としては決めていませんが、個人の興味や好きをベースにキャリアを築いていこうという文化はあります。
当社には、コンクリートなどに穴を開けるコアドリル、ワイヤーを用いて切断するワイヤーソー、水圧を利用して切断するウォータージェットなど様々な工法があります。入社したメンバー、特に新卒のメンバーはみな現場からスタートするのですが、一つの工法を極めてもいいですし、他の工法に興味があれば面談などの機会に相談して、そちらに進むこともできます。
また、現場の仕事を理解して、工事内容そのものの改善や、新しい技術を活用した工事の提案していくことに興味がでれば、営業のキャリアに進んでもいい。建設業法などに興味を持ち、現場の仕組みを整えていきたいと思ったら総務の選択肢もあります。
——社員一人ひとりの志向に合わせてキャリアを築けるのは良いですね。
はい。ただ現場で仕事をしていると、どうしても目の前の業務に集中してしまい、自分のキャリアを立ち止まって考えることが少なくなってしまいます。そのために入社3年目、6年目、15年目には集合研修の機会を設けており、他部署の仕事の選択肢に気づいてもらったり、現場管理のノウハウを学んでもらえるようにしているんです。
葛藤しながら、採用を通じて業界のイメージを変えていきたい
——意図的にキャリアを考え直す機会を設計されているんですね。今後の採用活動で取り組んでいきたいことはありますか。
DICの仕事をよりリアルに、かつ魅力をポジティブに発信していきたいと考えています。というのも、「社会インフラの修繕維持」という非常に社会的意義の高い事業を行っている自負はありますが、どうしてもブルーカラーという印象を拭い切れていないという現状があるからです。
私自身も採用活動をしていて葛藤することがあります。「ブルーカラーとホワイトカラーの仕事に格差はない」と言うのは簡単ですが、どんなに社会的意義の高い仕事でも、真夏の暑い日に外で仕事がしたいかと問われると、そうではない方もいると思います。それが、業界の慢性的な人手不足につながっていることも否定できません。
でも、そうしたことを見て見ぬ振りするのではなく、誠実に向き合いながら、いま私たちができるベストな選択肢を考えていくことが大切です。こと採用においては、業界のリアルな厳しさや大変さも伝えつつ、得られる仕事のやりがいや楽しさを伝えていくことが必要だと思っています。
すぐに答えが出るものではないですが、葛藤もしながらも、まずはDICで仕事を楽しめる人を一人でも多く増やしていきたいと思います。その先に、業界全体のイメージを少しずつ変えていけたら嬉しいです。